ぽぽぽ?(仮)

日々もろもろ。

もう1度長い話をしよう④

この人の生涯を見届けたいと思っているバンドマンがいる。

キクチユウスケ(plane)。

その音楽やライブと共に過ごした時間は、言ってもそこまで濃密ではないと思う。ただ、聴き続けた観続けた年月だけでいうとBUMP OF CHICKENの次に長くて、そして更新し続けるのだろうと思う。

てか私、まさかキクチさんがこんな人生を歩むなんて思ってもいなくてですね…。

出会いはデビューシングル『グランドライン』で、テレ東系でロッキンオンがやってるカウントダウンジャパンのEDとかになってたんですよね。確かね。で、レーベルもBUMPと同じトイズファクトリーで、それこそBUMPのラジオの前枠の時間帯で彼らも喋ってたんです。番組タイトルは「スローライフカフェ」。当時からあの人はそーゆぅのが好きだったんだな…。だから、この数年後に実際にキクチさんはカフェとかバーとかの経営に着手することになるのですよね。

planeというバンドは実際のところメジャーに行っても全然売れなかったし、契約期間満了であっさりとメジャーから手放され、しばらくしてたぶん事務所ともお別れしてると思うんだけど。以来かなり細々とした活動にはなっているけれど、15歳の時に組んだオリジナルメンバー4人そのままでずーっとずーっと続いている。終わりを語った日もあったし、未来を語った時もあった。笑って歌った日もあったし、「これは涙じゃないです。あれですよ、あれ」って平然と言いながらも号泣して歌っていた時もある(※最近)。

その、最近の話。

キクチさんのご友人の方が経営されている小さな美容室で、完全に生音だけでのライブ。お客さんは10人ちょっと(曰く「ちょうどいい人数」)。そういえば、「ライブをやるって言ったらこうして来てくれるお客さんがいるから歌っていられるし、いるうちは歌っていこうと思う」っていうニュアンスのことをぽそっと仰っていたな。「最近、珍しく疲れてる」とも言っていたな。ここ数年はいろんな事業を楽しく展開しているようで、私は生き生きと楽しそうに話されるそのお話を聴きに弾き語りとかによく通っていて。ただ「今はあまりライブをするという気持ちではなくて。こういうことも来てくれるお客さんには伝えておこうと思う」とも。

良い時も悪い時も、病める時も健やかなる時も。

どんなスパンになろうとも歌い続けてくれるなら。その消息を知れるところにいてくれるなら。

私はその限り観続けようと思うのです。

高校生の頃に文芸部で痛々しい小説などを書いていたものですが、本人的には全く黒歴史じゃないので今も実家に部誌を大切に保存していますが…。『届かない訃報』ってゆーショートを書いたことがあって(爆笑)。なんちゅータイトルだよって話なんだけど、私はその当時からそれを恐れていたんだなぁ。あのときは誰のそれに怯えていたのか全くもって思い出せないんだけど。〝この人がその生を終えたとき、その報せは私のもとまでちゃんと届くだろうか〟と。
例えば30歳のバンドのファンだとして、でも次第に表向きのそういった活動が減る、ないしは完全に引退してしまった場合、そしてその50年の後その人がきちんと大往生をしたとしても、その訃報は私のところには届かないんだろう。それは何か、淋しいなと。そういうことを思ったんだよ17歳のあの日。最後の最期まで、訃報がちゃんと情報として行き渡るところの人でいて欲しいというか。そういうことは、思っている。

私は、人を観に行っているんだよね。音楽の鳴る場所に。


【PV】plane / はなればなれ - YouTube