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ぽぽぽ?(仮)

日々もろもろ。

続・あまり長くなく且つ他人の言葉を。

「彼らは互いをあるがままに受け入れ、理解し合った。一人ひとりがそこに深い幸福感を抱けた。しかしそんな至福が永遠に続くわけはない。楽園はいつしか失われるものだ。人はそれぞれに違った速度で成長していくし、進む方向も異なってくる。時が経つにつれ、そこには避けがたく違和が生じていっただろう。微妙な亀裂も現れただろう。そしてそれはやがて微妙なというあたりでは収まらないものになっていったはずだ。

シロの精神はおそらく、そういう来るべきものの圧迫に耐えられなかったのだろう。今のうちにそのグループとの精神的な連動を解いておかないことには、その崩壊の巻き添えになり、自分も致命的に損なわれてしまうと感じたのかもしれない。沈没する船の生む渦に呑まれ、海底に引きずり込まれる漂流者みたいに。

シロはおそらくそんな状況から逃げ出したかったのだろう。感情のコントロールを絶え間なく要求する緊密な人間関係に、それ以上耐えられなくなったのかもしれない。シロは五人の中では疑いの余地なく、最も感受性の強い人間だった。そしておそらく誰よりも早く、その軋みを聞き取ったのだろう。」


割と長かった……。
村上春樹が多用する「損なう」という言葉の本質を人生の実感として私は今初めて理解したような気がする、そんなお年頃です。
――「楽園はいつか失われるものだ」。



「いや、おれは冷静でもなければ、常にクールに自分のペースを守っているわけでもない。それはただバランスの問題に過ぎない。自分の抱える重みを支点の左右に、習慣的にうまく振り分けているだけだ。他人の目には涼しげに映るかもしれない。でもそれは決して簡単な作業ではない。見た目よりは手間がかかる。そして均衡がうまくとれているからといって、支点にかかる総重量が僅かでも軽くなるわけではないのだ。」