ぽぽぽ?(仮)

日々もろもろ。

同時代人の物語

村上春樹を読んでいて、「じゃあフィッツジェラルドを(つまりは『グレート・ギャツビー』を)読んでみよう」と思い立ってページをめくり出したわけだけれども(※野崎孝訳)、なかなかしんどいところのあるものですな! 古典読むの久々だからテンポ感を身体が思い出さないのって大変だよね! てゆーか、やっぱり、同時代人でしっくりくる作家さんがいるのならそれに越したことないなって思った次第で御座います。音楽も小説もね。絵画もね、最近は何か、近しい時代性の作品の息遣い的なものをね、感じられるようになってきた気がする。そこはジャンルとしていちばん不明瞭なんだども(笑)。

気付いたらば未だに『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』ばかり手に取ってしまう。人生の段階として切実にこの物語を必要としているのだということがはっきり実感できるし、またそのような物語が寄り添って在ってくれることにただならぬ感謝しかないで御座る。読むべき時が来たらぜひ読んで欲しいなぁと人に薦めたくもなるけれど、私も初出の段階ではこんなにも自分にとって欠かせない、また道標のような作品であるとはぜんぜん気付けていなかったので。でも、思い出した時にすぐに手に取れる場所にきちんといて待っていてくれたから、待たせといて欲しいとも思いまする、ハイ。

あと、『雑文集』がね! 文庫になったからやっと入手したよ!! 新書で買っても良かったねって読んで思ったけどね!!
内側からそっと暖めてくれる小編がたくさん収まっていて、たくさんなのでいろんな角度から暖めてくれるので、そのぬくもりは噛みあった長編小説がもたらしてくれる熱量とは比べられないけれど、手触りを持ったささやかな温かみに溢れております。
私はビーチボーイズの一切を知らないけれども、だからこそ『みんなが海をもてたなら』がひとつの物語として美しく感じられるような気がするのであります。あれ、好き。バンドという仕組みの美しさの全てが包括されているなぁと(その美しさの中には、醜さも含まれていると思うのです)。

「お払い箱にしてもおかしくはないようなトラブルに満ちた家庭を、それが家庭であるという理由だけである種の人々が懸命に維持しようとするのと同じように、彼らはビーチボーイズという価値を、旗じるしを、フォーマットをみんなで力を合わせて守りつづけた。」

あとは『ビリー・ホリデイの話』…。私もこんな風に音楽を語ることができたならばどんなにか素敵だろうと思うのだけれど。ひとますは一昨日観たライブで灯された松明が確かに今もまだ胸の中で燃えているので、これ以上に素晴らしいことなんてないなって思っています。またあの時の、恋に堕ちたままの手つかずの衝動を手にできるなんてこれっぽっちも思っていなかったんだ。冗談抜きで、5年ぶりくらいの。brainchild'sの『HUSTLER』がね、もうね、すごいんだわ(笑)。この同時代人の音楽について、美しい物語を私自身が描けるようにちょっと頑張りたいくらい(笑)。
ここに終着点を設定して書きだしたわけじゃ一切なかったんだけど。『ジム・モリソンのソウル・キッチン』じゃないけれど、俺の魂に火をつけてくれたのだ。

HUSTLER(DVD付)

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