ぽぽぽ?(仮)

日々もろもろ。

2020年映画の旅②

ものすごい主観であります。
かなり偏った趣味だと思われます。ラインナップ的にも。「2020年に映画館で観た」作品を扱っています。ので、制作年度は準じていないです。あと、基本甘口評価でいきたいタイプです。

千と千尋の神隠し ★★★★☆
最初に観た時から思っていた。今回も上映が終わって客電が点いて、ナウシカと同じくらいぐったりした客席の中で、前の列の男子が「こんなに難しい話だったっけ……」と顔を覆いながら呟いた。そう、難しいの。少なくとも私と、その男の子にとって。
両親のこと、不思議の街のこと、カオナシのこと、電車のこと、ハクのこと……もうすべての暗喩を解けていない気がするのです。私は。どれほどこの映画のことを汲み取れておるのだろうか……。
でもこの歳になってもう1度映画館で食らいつくように必死で観られる機会があって良かったです。あと、ナウシカ観た直後に鑑賞したので、この間にいかに洗練されたかというのが、繊細な画面のすべてから伝わってきましたよね。作画もだし、ストーリーも。そしてあの『いつも何度でも』が静謐に流れるエンドロールの前に、ただ静かに深く息を吸い込むしかないのです。

海の上のピアニスト 4K修復版 ★★★★☆
20年ぶりに観ました。大方のデティールは記憶どおりでした。細部に関しては完全に新鮮な気持ちで観られました。
案の定、始まってすぐ泣いて、泣いて、合間合間にちょいちょい泣いて、最終的にすーすー涙を流し続けたわけなのですが……。作品のノスタルジィなのか自分のノスタルジィなのかもう訳が分からず融解してしまったところでの涙だったので……。だからこそイタリア完全版も観てみたいなって思ってしまった……、観るまでは修復版だけでいいじゃろイタリア版長いしなぁって思っておったのに……(確かに今回そう言われて観てみたら、特に前半に端折ってんなぁ性急だなぁって印象を持ったせいも大きいです)。
だからまだけっきょく私はこの物語について掴み切れていなくて、けれど少女を目にしたナインティーハンドレッドが奏でた旋律の美しさそれだけであまりにも胸を打つこと、それは確固たるものでした。海の叫びを聴いたのだと。
※けっきょくイタリア完全版観られませんでした……。

インセプション ★★★★☆
こうして「映画館で観た映画」について数年間でも書くことを続けていくと、こうゆうことが起こるんです……前も、観た(笑)。あれは『ダンケルク』公開のタイミングだっので3年前ですね。こないだの『地獄の黙示録』はバージョンが違ったけど、今回は全く同じです。でもまぁ3年経ったし、おんなじ期間内に観たわけでなければひとまず書いておきます。
てゆーかあの…3年ぶりに観て……確信を忘れてたからちょーびっくりした(笑)。人は……忘れる(笑)。マリオン・コティヤールの美貌が鮮烈だったシーンとしては覚えてたのに、どーゆぅ文脈でそうなったのかを見事に忘れていたため、再度新鮮な気持ちで、かつ1度観ているという余裕があるので、とても落ち着いて楽しむことができました……(笑)。忘却にも良いところはあるね!!

Reframe THEATER EXPERIEN with you ★★★☆☆
今に至るまでPerfumeのライブ観たこと無いなぁって思って(よっぽどのことがないとフェスに行かないので、気軽に観る機会を作れないんだなぁ……)、せっかくなので観てきました。今こんな実験的なステージもやってたの!!! って度肝抜かれましたわよ……。照明フェチみたいなところあるから、あの完全コンピューター制御であろう照明の演出凄かった……。
てゆーか先日久々に「音楽と人」の表紙写真で3人のバストショットを拝見したらば、あ~もうすっかり大人になられて~~美しいぃ~~~!! ……ってなったわけですが。この映像作品を観ていて思ったのは、彼女たち3人がすでに圧倒的にPerfumeを全うしているにもかかわらず、それはまだまだ続いていく物語なのだということ。その覚悟が生半可ではないんだろうなということ。そしてけっきょく、その立ち位置で追随を許さなかったということ。

インターステラー ★★★★★
神がかっている。総て、総てが。
3時間弱、「時間が無い」と叫び続けるその物語に用意されたフィルムの中に、何ひとつ無駄な要素は無い。総てがあの結末に辿り着くためにあまりにも美しく必然として存在している。なんて美しい物語。
てゆーか!! いやぁホント凄い。凄まじい。時間の相対性に沿って光速(に近いスピード/少なくとも現在の技術では人体がその加速に耐えられないと言われていますが)で宇宙探査をする父親と、地球に残されて父を信じ疑いそれでも希望を模索し続ける娘の物語。どうしても問題になるのはその時間の進み方の差で、それをここまで美しい脚本に昇華できるなんて思いもよらなかった。すべからく時間の進み方が異なる……歳の取り方が違うというのは、共に生きる上でのあまりにも巨大な障壁になるのだから。それをこんな形でなぁ……。もうさぁ、最後の方は絶叫モノです……。
実は1か月くらい前にレンタルしてPCの画面で初めて観て、それはもう自室なので実際的に絶叫かつ大号泣したんですけど。もうこれはありとあらゆるシーンがIMAXで観るしかねぇの連続なので、嬉々として映画館に足を運びました。ああぁ~~~映像の凄さたるやも!!!
そしてキャスティングも完璧としか言いようがないと思うんですけど、主人公の子供たち2人がマッケンジー・フォイティモシー・シャラメって組み合わせマジ神がかり。大人になった時のジェシカ・チャステインケイシー・アフレックも。いやー、マーフの幼少期・大人の組み合わせね、ホント良いね。冗談抜きでその瞳に吸い込まれるね! そしてマシュー・マコノヒーの武骨さが、地球が砂と疫病に覆い尽くされ息絶えようとしている世界に与える圧倒的リアリティ。あと、マット・デイモンがこーゆう役やってるのが新鮮過ぎて、秋。
2001年宇宙の旅』でAIに対して圧倒的な不信感を植え付けられている我々にとって、TARSとCASEには最初どうしても警戒しちゃうんだけど、ゴメン。まじ疑ってゴメンな2人とも……。あー、そこもすごい良かった。君たちホント最高でした大好き(情緒不安定か)。
これ以降は私の完全な趣味なんですけど、“超ひも理論(超弦理論)”についてずっと以前から興味があり、特に2019年末から一般向けに書かれたそれらについての本(ブライアン・グリーン著『宇宙を織りなすもの』『隠されていた宇宙』他)をずーっと読んでいて(一読で理解する能力が無いため、4~5回くらい読み返しているという……)。なんとか古典物理学相対性理論量子力学、そして超ひも理論の言わんとすることを微々たるものですが汲み取るようなことが出来た気がしていて(ちなみに当方はド文系のため、高校でも物理を選択していません。生物と地学を選択した気がする……)、それはこの映画の中で語られる理論を解する上で、大きな助けになりました。でもむしろ、この映画を観て興味を持ってもらえればいいんじゃないのかと思います。SF取っつきにくいという気持ちも分かるのですが、有り余る好奇心を受け止めてなお神秘的な宇宙が事実として広がっている土台の上に更に、この作品のように美しく築くのは至難の業であろうとも、でもこんな物語が生まれるから私は愛してやまないのです。
神がかった、宇宙と人類の物語。

 
TENET テネット ★★★★☆
未来とは、エントロピーの増大する向きである――
それこそ繰り返し読んだ『宇宙を織りなすもの』で口を酸っぱくして作者氏が訴え続けた、時間の矢。時間の矢の向きを定義する物理法則は見つかっていない。ただし、仮に宇宙が極度の低エントロピー状態から始まったとすれば――それは途方もなく極端な世界でなくてはならない――混沌が増す方向が未来と呼ばれる方向である。
正直に言ってかなり難解。そういう前評判も聞いていたので、必死になって物語に食らいついていったんですが(その際にエントロピーの知識があったことはだいぶ助けになりました……)、それでも最後の戦闘を前にしてけっこう「????!!????」でしたね。ただ、この1回観ただけで分からせきれない、というこの映画の難解さこそが作品の魅力として際立っている稀有な例。

 
 
 
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